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冬木立 [歌人生]

私の長い人生には恋した事もありましたが、あの日はちょっと違っていたのです。1月の寒い夜の事、雑木林に囲まれた離れ座敷の廊下である方の後姿を見た私は、彼の広い背中で慟哭したいとふと思ったのです。しかし同時に、自分の衝動にも驚きました。その気配をあの時あの方は気づいたのでしょうか、それともわざと知らぬ振りしたのでしょうか…。あれからもう十数年の歳月が流れました。
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最初で最後の恋だったのか、それとも私の妄想だったのか。初めて経験したそのシーンはまるで歌の中の非現実的な情景の様でもありましたが、今でもまざまざと思い出されます。その時、あの後ろ姿に『葛藤』を感じたのは私の自惚れだったのでしょうか…。今はそうして置きたい私です。
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あの日以来私は背中をテーマに恋の歌を描きたいとずっと思っていました。昔の名曲には確かに背中が出てきます。哀愁がある曲が付けられ、男女の儚い恋や、切ない女心を描いています。その時女はどうするべきだったのか…。あの夜、庭の冬木立にはうっすらと初雪が、詩情豊かな小江戸の夜でした。 今夜はこれでおやすみなさい。
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