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風の街 [黄昏に向かって]

私は夕陽が好きです。夏のギラギラ燃えるような夕陽も好きだけれど、晩秋の夕暮れには格別な思いがあります。
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昼間の忙しさがそろそろ終わり、素の自分に戻る時間になると何とも言えない虚脱感があります。そして私はいつもの様に遠い山並みに落ちてゆく夕陽を見ています。曇った日は茜色の靄のような雲が垂れ込めていますがその景色にも心惹かれます。
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ああ、今日も無事でよかった、気疲れもあったけれど、昨日より今日の私は充実していると思うのです。そして駅前デパ地下で食料品を買い、馴染みの店で軽い会話を交わし、家路へと向かいます。
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商店街を一歩入ると静かな住宅街が続きます。細い道を歩き続けると、まだまだ冒険に巡り合えそうな魅力的なこの街。しかし目的もなく歩くにはもう年を取り過ぎています。いつも周囲には「100歳まで生きようね」と言っているのに、本音は100歳どころか今でも危ないのかと思う日もあります。
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ここの所の寒気のせいなのか、先日のちょっとしたトラブル以降、体の中を風が吹き抜けます。幼馴染も先に去り、職場の同僚たちとも疎遠になり、私が何者なのか全く無関心な人の波に埋没する自分。「もう疲れた~」と時々心で叫んでみても、「いいえ、まだまだ生きたい!、もっと自分の可能性を試してみたい!」ともう一つの心が叫びます。


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