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お別れはキッスで。 [猫]

柔らかい唇でした。痛い痛いと泣き喚く私にそっとキッスするのは彼。今年19歳になったトラ吉です。先日の打撲から4日目の夜の事でした。寝返りしたとたんの激痛に思わず大声で泣き叫んでしまった私。
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足元で静かに寝ていたトラ吉(いいえもしかしたら息絶え絶えだったのかも知れません)が近寄ってきました。そして顔を近づけると私の下唇をかるく甘噛みしました。「大丈夫? 大丈夫? 痛いの?」それから私の横に顔をこちらに向けて横たわりました。
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毎晩の日課は枕元の小さなカセットテーブレコーダーで、私がその日に歌った歌を二人で聞く事です。トラは何時も眼を細めて聞き入っています。しかしあいにくその夜は痛さでかけられませんでした。私はいつの間にか眠ったようです。
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トラ吉が動き出した気配にはっと目覚めた私、様子が変です。トラ吉がとても悲しそうな声で、しかし澄んだ綺麗な声で首を上げて鳴いています。遠吠えのような感じでした。それから此方を見て大きく口を開けました。そしてもう一度。そのまま倒れ込むように私の腕の中に。これが臨終なのか迷いましたが、いそいで寝かして体中をマッサージ。足の指や手の指も。再び心臓が動く気がして…。まだ体は温かです。しかし1時間後には硬くなっていきました。
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そして暫くして、私は一足先に逝った夫の元へ送るための準備を始めました。外が白み始めても眠らずにひたすら仏壇の先祖や先輩ペットの犬達にお線香を手向けて頼みました。優しく迎えてあげて欲しいと、労ってやってほしいと。
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ペット霊園の担当者さんが迎えに来て呉れ、ペット霊柩車に乗ったトラ吉に私は手を合わせてさよならを。小雨の中でしたので、角を曲がるまでの見送りでした。今も時々彼の声が聞えます。マミーマミーと鳴いた彼。獣医さんに『もう無理だよ』と言われてから5年以上も頑張って呉れました。特に夫が逝った後は、私の後見人と思うほど、信頼できる同居人だったシバトラ猫のトラ吉。
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時ならぬ雪も霙も、私の涙。人間の方が送る側にならなければ彼等はもっと不幸になってしまうけれど、私はトラ吉に『送って貰いたかった』それ程、心強い男らしい猫でした。
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もうこれが最後と思っていた昨年秋、もう1匹の三毛猫が来ました。ご近所の飼主さんが他界したからです。そしてもう一匹、いつの間に庭に住み着いたグレーに白足袋、白手袋の雄猫チビ、しかしこの仔は1週間ほど前から他家に行って帰って来ません。トラ吉の死期を予感していたのかも知れません。
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そしてトラ吉もまるで入定するかのように食餌も殆んどとらず、水だけで10日ぐらい過ごし、口臭も無い程綺麗なままで去って行きました。見事です。尊敬に値する最期です。さような、さようならトラ吉、そして最後のキッスありがとう~。
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※写真はトラ吉の3年位前までの写真です。
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